鋳鉄エクササイズ
南部鉄器の小さなフライパン
初めて買った鋳鉄製品は、直径24cmの薄手のフライパンでした。
使いだしてしばらくして、もっと手軽に扱える
コーティングフライパンも併用するようになったんですけど、
そこでコーティングフライパン一辺倒にならなかったのは、
もちろん鋳鉄には鋳鉄の良さがあったからです。
火の通りが良く、野菜炒めひとつにしろ
シャキッと香ばしく仕上がるので、
料理に時間がかけられる時は、
やはり自然と鋳鉄の方を手に取る事が多いです。
この「火の通りの良さ」は、
次に手に入れたアウトドア用コンボクッカーにも
まざまざと見せつけられました。
こちらの鍋は肉厚なので、熱伝導の良さに加えて
「蓄熱性の高さ」も特性でした。
この特性は、ある程度鍋の厚みがあってこそ
際立ってくると思うんですが、
この「厚み」に付きまとってくるのが「重さ」です。
コンボクッカーほどの大きさになると
重量は5kg強とまるでダンベル。
男目線からしても、とにかく重い。
調理中は動かさないからいいものの、
大変なのは片付ける時です。
鍋をコンロから降ろす、向きを変えて汚れを落とす、
溜まった水を捨てる、コンロに戻して火にかけ、
水分を飛ばして収納棚に仕舞う。
鍋を動かす全ての動作に「よっこらせ」がついてきますから、
これはなかなか筋肉がつきそうです。
やはりこのあたりの扱いづらさも含めて
楽しめるのは、作業スペースや水ハネなどを
気にする必要がないアウトドアなんでしょう。
といいつつも、自宅でカレーや煮物をたくさん作るときに
決まってこの鍋を使うのは、
手早く美味しくできるからというのが一番の理由です。
ただ、この鍋自体の出番はかなり限定的で、
使う時も(片付けるときの)覚悟を決めて使わないといけないので、
鋳鉄製品を使った事がない方に「是非使ってみて!」と
気軽に勧められるかというと、すこし気が引けます。
デイリーユースな鋳鉄
このフライパンならそんな変な覚悟を決めなくても
鉄の鋳物の良さがわかります。
鋳鉄の特徴である厚みを残しつつ、
それに伴う重量が苦にならない大きさ。
「炒める」から連想するフライパンとしては
少し心もとないミニサイズですが、
使い出すと非常に出番が多い調理道具です。
そしてなにより、片手で扱えるので
手入れがしづらくて使うのが億劫になるということもありません。
小さい利点
この大きさと見た目ですから、
作ったらフライパンのままサーブすることが
ほとんどなんですが、これがとにかくいいんです。
何人かで囲む食卓に
ちょっと一品追加したいときなんかにも使えますが、
個人的にはお一人様用として使うのが気に入っています。
目玉焼きと焼き野菜なんて
重ね鍋で作るゆで卵と蒸し野菜並みに手早く簡単。
パンをトーストしている間にできちゃいます。
そしてなにより美味しい。
特に目玉焼きは、焼き目がカリカリで香ばしく、
コーティングフライパンで焼いたものと比べると、
やはりこちらに軍配が上がります。
そして高い蓄熱性のおかげで、
食べている最中もずっとジュウジュウと音を立てています。
食べ終わって、さぁ片付けようかっていう時まで
しっかり温かいところはさすが鋳鉄。
もちろんオーブンやトースターにも入ります。
チーズをたっぷりかけたグラタンにドリア、
焼き目を入れたチキンのロースト、
タルトタタンなどのデザートメニューにも使えます。
蓄熱性が高く、冷めにくいのが鋳鉄。
表面の温度が下がっても底の方はホクホクなので、
アイスを添えたアップルクランブルも絶品です。
サイズは14cm、17cmの2種類。
側面の立ち上がりが緩やかなので、
ハンバーグやパンケーキなどのフライ返しを使う料理に適しています。
プレーンなビジュアルで和・洋食器どちらにも
取り合わせやすいっていうところも良いです。
便利な使い方と注意するところ
14cmは重ね鍋のガラス蓋が使えます。
目玉焼きや野菜の蒸し焼きとか、
ちょっとだけ蓋が欲しいときは、
やっぱり汚れが落ちやすい一体成形のガラス蓋が使えると便利です。
使い始めは油を引き、野菜くずなどを炒め、
フライパンに油を馴染ませてからお使いください。
使い終わったらお湯でよく洗い、
火にかけ水分をしっかり蒸発させます。
この時、水分が残るとサビの原因となりますので
しっかりと乾かしてください。
長期使用しない場合は、
食用油を薄く塗って保管しておくと効果的です。
また、取っ手が熱くなるのでその点だけご注意ください。
このサイズですから、火にかけながら
鍋を振るようなことはほとんどないと思いますが、
鋳鉄は一度熱くなると火を止めても
なかなか温度が下がりませんので、
オーブンからの取り出しや、
サーブするときなどはミトンやポットホルダー、
布巾などを使用してください。
さて、このフライパンの肝心の重量ですが、
14センチ約650g、17センチ約900gと
どちらも1kg未満なので女性の方でも
難なく使いこなせる重さだと思います。
※とはいえ鉄なので、アルミと比べると重量は2倍以上です
(鉄の比重7.85 アルミの比重2.73)。
持ってみるとズシリと感じるのは鋳鉄の特徴ですが、
直径が小さいので水洗いするときも
フライパンというよりお皿を扱っている感覚に近いです。
「よっこらせ」も出てきません。
うん、これなら鋳鉄製品を使った事がない方にも
「最初の鋳鉄として是非!」と気軽におすすめできます。
- サイズ
- 14cm:約Φ147(底面Φ112)×奥行236×高さ26(取手部分40)mm / 650g
17cm:約Φ171(底面Φ135)×奥行271×高さ31(取手部分49)mm / 900g
- 材質
- 鋳鉄(焼付塗装仕上げ)
- 生産国
- 日本
- 備考
- 200V IH対応