見えない気配り

18-10ステンレス カトラリー

このカトラリーを作っている新潟県の
カトラリーメーカーを訪ねていったのは、
雪がちらつく1月末の寒い日でした。
僕らのスケジュール的に日曜しか日程がなく、
お休みだったところを社長さんがわざわざ開けてくださって、
見学させてもらえました。

もともとは別のカトラリーシリーズが気になって
おじゃましたんですけど、これを見せてもらってからは
他の説明を聞いてる間も、正直上の空でした(ごめんなさい)。

聞くと、会社がカトラリー専門に変わってから、
最初に作ったのがこのカトラリーなんだそうです。
なるほどと思える、第1弾にふさわしいベーシックな形です。
話しててカトラリー好きがにじみ出てた
社長さんはニコニコしながら説明してくれました。

機械だけじゃ作れない

『この形は機械じゃできなくてね。1本ずつ手で曲げて作ってるんですよ』

全体のゆったりとしたS字ラインは、
持ってみると手に沿うようにカーブしているのがよくわかります。
先端と柄の繋ぎめのカーブは機械で曲げて、
親指で抑えるあたりのカーブは手作業になるそうです。

バランスがよくて、重心が前にも後ろにも
傾かないからとても扱いやすい。
つぼ(すくう部分)の先端部分は細く、
でも、角を丸く仕上げることで口当たりも上々です。

カトラリーにとっては裏面と言える指にあたる部分も、
面取り(角や隅を丸くすること)をしっかりとしてあるから、
ザラついた感じもなく、長時間使っても指が痛くなりません。

素材にはカトラリーの多くに使用される
18-0や18-8ステンレスより上質な18-10ステンレスを使用しています。
ちなみに「18-10」というのは「クロム-ニッケルの含有量」のことで、
ニッケルの含有量を増やすと錆びにくくなります。
なので、耐蝕性・耐久性に優れていて、
錆びの発生率もグッと抑えられています。
多少ずぼらな扱いでもぜんぜんへっちゃら。

それに、18-10ステンレスは金属特有の「金気(かなけ)」
と呼ばれる味や臭いが低減されてるから、
口に運ぶときにするかすかな金属臭や、
口に入れたときに金属っぽい味を感じたことがある方には
特におすすめです。

仕上げはミラー(鏡面:左)とサテン(つや消し:右)の2種類。
基本的には好みで選べばいいところですけど、
言ってみればサテンはミラーより表面を
ほんの少しだけ荒く削ることで艶を消しています。

なので、その分だけ口当たりがいいのはミラー。口からスルンッと抜けます。
片方だけ使うとわからないことですが、比べると実感できます。
これはこのカトラリーに限らず、全般的にいえることだと思います。

それと、サテンは1度ミラー仕上げをしてから
手作業でつや消しにするので、
ミラーよりちょっと高くなってしまいます。
このあたりのことを考慮して選んでいただければと思います。

こっそりちゃんとしてる

このカトラリーのいいところは、
上品だけどどことなく垢抜けないところだと思っています。

垢抜けないというと悪いことみたいですけど、
いい具合に隙があって緊張しない形なんですよね。

デザインされてる感じがあまりしない。
でも、見た目にわからないところでは使いやすさを考えて、
わざわざ手じゃないと作れないようなことをしてあるし、
素材にもいいものを選んである。
そういうところには丁寧に気を配ってあるんだけど、

『人を選ばず、幅広く使ってもらえるように作りました』

という言葉通り、
それを相手に感じさせないところがいいなぁと思います。

個人的には柄の後ろはもうちょっと丸くても
いいかなと思うんですけど、そこもなんか愛嬌のようで
「これはこれでいいか」と思えてきます。
(でも、ナイフの背はやっぱりフラットな方が好みです・笑)。

安くておいしいちょっと古ぼけた洋食屋さんや
個人でやってる小さなイタリアンやフレンチのお店みたいに、
カトラリーのデザイン同様気取らず気張らずのお店には、
こういうカトラリーがよく似合います。

新タイプが仲間入り

店舗でコーヒーとスープを出しているときに、
ティースプーンとディナースプーンだとなんだかちぐはぐな感じがしたので、
試しにコーヒースプーンとスープスプーンを仕入れてみました。

どちらも今までに必要性を感じてなかったこともあって、
お店にはよくても家で使うかな?という気持ちもあったんですけど、
2本とも使ってすぐに良さを実感できたので取り扱うことにしました。

コーヒースプーン(左)はティースプーン(右)より一回り小さく、
混ぜてるときやカップからのぞく柄の長さがほんとにちょうどいい。
服の着丈の1〜2cmが気になるように、
ちょっとしたことでもぴったりサイズだとこんなに気持ちいいんですねぇ。

あと、小回りが利くから小瓶のジャムやマスタードを
すくうのにも使いやすいです。女性や小柄な方だと
ティースプーンなしでコーヒースプーンだけでもいいかもしれません。

普段の生活を振り返るとスープは
小さめのボウルやマグカップで食べることも多いから、
スープスプーンは通常のものより柄が短く、
小さいサイズのものを選びました。
大皿で食べるときはディナースプーンを使えばいいですしね。

コンパクトでも見た目以上にたっぷりすくえて、
使用感としては小さめという感じはありません。
量ってみたら1杯ですくえる量は
ディナースプーンと同じで約12ml。
そりゃ小さい感じもしないわけです。

正直今までは「わざわざスープスプーンなんて…」
くらいに思ってたんですけど、今ではそう思ってる人に
「こっちの方が食べやすいよ」って薦めてあげたいほどです。

サイズ
ディナーナイフ:223mm / 59g
ディナーフォーク:183mm / 42g
ディナースプーン:181mm / 49g
スープスプーン:145mm / 29g
ケーキフォーク:140mm / 18g
ティースプーン:134mm / 21g
コーヒースプーン:121mm / 17g
材質
18-10ステンレス
生産国
日本

18-10ステンレス カトラリー

¥730 〜 ¥2,640

レターパックライト対応

タイプ